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既婚者が恋愛してしまった辛すぎる話「第1話」

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私の名前はケンタロウ。34歳。妻がいて、元気な子供がいて、郊外に家も建てた。職業は、教員で安定もしている。周りから見ると、いわゆる普通の幸せを掴んだ奴に思えるだろう。あと必要なのは、犬くらいだろうか。

しかし、仕事は大変なんだと訴えたい。離職率も多い教員。安定で乗り切れるほど簡単な仕事ではない。

朝6時には家を出て、遅い時には10時過ぎに帰宅する。元気すぎる子供の相手、クラスで起こるいじめ問題やケンカ、理不尽な保護者からの要求、守ってくれない管理職、終わらない採点、その他に盛り沢山の学校の仕事。

正直心が折れそうな時もあった。モンスターペアレントを引き当てて、とんでもないことになったこともある。(まぁ、メンタルがやられる理由は仕事だけではないが、後に話すとする。)

しかし、辞めようとは思わなかった。

なぜか。くだらない理由がある。

それは、学校で彼女に会えるからである。心の支えになっていた人がいる。

名前はスズハ。

今年採用試験に合格しこの学校へやってきた新人さんである。スズハは私と同じ学年で隣のクラスの担任する。

4月、初めて彼女と出会った。

立場的に、私が学年をまとめる役職になる。学校の先生は、同じ学年の先生と一緒に仕事をすることが多い。学校行事の内容を学年で決めて子供たちを動かしたり、授業の進め具合を打ち合わせたり、問題ごとを共有したりする。

「モトミヤスズハです。はじめまして、よろしくお願いします。」

全体への挨拶がすみ、スズハは私の隣の席についた。

「ツダケンタロウです。1年間よろしくお願いします。では早速、学年の打ち合わせをやりましょう。」

「はい、よろしくお願いします。」

「まずは、予定の確認と、授業の進め方について話していきましょう。何か困ったことがあったらすぐに聞いてくださいね。」

マスク越しにもわかるくらい緊張した様子で話を聞いていた。そこから1時間くらい、打ち合わせをした後、それぞれのクラスの仕事にうつった。

第一印象は、声の小さい弱々しい女の子。

色が白くて、髪は黒くて背中までくらいの長さでふわっとしている。黒目の色素が薄く、小さな外国のお人形さんみたいだ。声は見た目とは異なり、ちょっと低い。

あまりにも弱々しく、何かあったらポキっと折れてしまいそう。激務でありメンタルもいかれやすい教員、1年間持つかなぁ〜と心配した記憶が強い。

新人さんということもあり、とにかく辞めさせないようにするが私の第1目標と考え、1年がスタートした。

 

 

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